春といえば新茶の季節ですね。
4月5日、静岡県は富士市にある「海と富士の茶の間」さんにてお茶の勉強会が開かれました。
内容は「茶摘み&手炒り茶体験」。
日本茶を取り扱っている善福寺店としてはなんとしても参加したい…!ということで、OIMOcafeスタッフと善福寺店店主が参加して参りました!
さて、今回の講師は「静岡県100銘茶評議会」会長、お茶の達人こと本多茂兵衛さん。
お茶にまつわる様々なことを、時にユーモアを交えながら教えてくださいました。
まずは茶園にて茶摘み体験。
品種は「摩利支」という希少品種。
その茶葉の新芽の部分を手で摘み取る作業なのですが、なかなかに大変。
少しでも集中力を欠くと、大きな葉や傷んだ葉まで摘んでしまいます。
2時間ほど摘んで採れた量は1人100g程度。
それを加工して、最終的な「茶葉」の状態になる時は、元の量の約5分の1になるそうです。
煎茶なら約5、6杯分になるという計算。
我々が何気なく飲んでいるお茶にそれほどの労力がいるのかと身をもって体験できました。
そして次に工場へ移動し、先ほど摘んだ茶葉を使って手炒り茶体験へ。
炒る前に太陽光に当てる、揉む、蒸す、など途中の工程を変えるだけで同じ茶葉でも紅茶になったりウーロン茶になったりするそうです。
本来は釜で炒る釜炒り茶を、今回は家庭でも作れるように、フライパンとコンロでお茶を炒る方法をレクチャーしていただきました。
そこでも人によって長めに炒ったり、逆に短めにしたりと炒り方の微妙な違いで味に大きく差が出るとのこと。
お茶の葉はそれほど繊細なんですね。
出来上がった茶葉がこちら。
左が炒る前の茶葉、右が炒った後です。
摘みたての状態と比べてもかなり目減りしているのがわかります。
そして最後にテイスティング。
自分達で炒った茶葉から、ウーロン茶や紅茶に加工した茶葉などを煎茶にして飲み比べました。
手炒り茶は口にした瞬間香ばしい香りが広がり、苦味の少ない甘い味わいでした。
ウーロン茶や紅茶も同じ茶葉を使用しているのに、それぞれ味が違っていて驚きました。
最後に本多さん曰く、「お茶の世界もデジタル化や機械化が進んで誰でも60点ぐらいの味は出せるようになったが、80点、90点以上の味を出すには結局人の”感覚”が大事になってくる。」とのこと。
本多さんは日々の天候や茶葉の状態などを感覚でとらえながら毎度微調整しているそうです。
飲食業においても、マニュアルやレシピの数字にとらわれるのではなく、”感覚”を研ぎ澄ませながら素材やお客様と向き合うことが大切なのだと気付かされました。
1日がかりで行った今回の勉強会はとても充実したものになりました!
本多さんにはお茶に関する知識だけでなくプロとしての心構えまでも教えていただきました。
摘む人の心、加工する人の心、そして淹れる人の心が重なって最終的にそれが「味」となって現れる。
ひとつとして同じものにはならないところが、お茶の魅力なのだと改めて感じました。
この日本の文化を守るために、少しでも多くの方にその魅力を伝えていくことが我々に出来る事だと思いました。
より一層、精進して参ります!
OIMOcafe zenpukuji 店主