コーヒー好きの碑文谷店店主によるコーヒー小話、今回は違った角度から迫ってみたいと思います。
老舗の喫茶店でも、最近のコーヒースタンドでも、音楽は店のイメージを作るものの一つだと思います。
あえて音楽をかけないお店もありますが、食器の音や人が話す声、扉の開閉音など、それもある種のBGMと捉えれば、カフェタイムを楽しむ時間がまた違って感じるかもしれません。
普段、碑文谷店にてコーヒーばかり淹れている私は、学生時代は音楽ばかりやっていました。
音楽系学校の出身ということを話すと、色んな先輩バリスタから「音楽とコーヒーって似ているんだよ」とよく言われていました。
確かにドリップコーヒーを教わるときって、「お湯を注ぐときはリズミカルに」というセリフを聞くような・・・。
「指揮を振るように注いで」と言われたこともあります。
エスプレッソを抽出するときも、粉のグラインド、タンピング、マシンにセットして抽出ボタンを押す、の一連の動作は、波に乗るように一定のテンポ感があります。
どこかコケるとリズムが崩れて美味しく淹れられない。
少し話は変わりますが、学生だった当時、作曲をご指導いただいていた先生から、「まずはいいなと思った曲のマネをするのがいい」と言われたことがあります。
その当時の若き私は「自分の色が消えませんか?」と生意気な質問をしました。
そしたら「マネだとしても必ず自分の色は出るから心配しなくていい」と返ってきて、そのやり取りが何故だか今でも自分の中にずっと残っていたのです。
それが最近、コーヒー業界の先輩から同じセリフが出てきてちょっとドキッとしました。
エスプレッソにしてもドリップにしても、まずは美味しいと思った店のレシピをマネしてみる。
そこから自分はどんな味を出したいのか突き詰めていくのがいいよ、と。
十数年かけてあの言葉がコーヒーに繋がったか!ととても不思議な気持ちになりました。
あまり何でも結びつけたりこじつけたりするのは好きではないのですが、
音楽からコーヒーの世界に入って、全然関係ないようなことでもいつか何かのタイミングで繋がるものなのだなぁと感じた出来事でした。
皆さんもコーヒー豆を購入した際は、そのお店のレシピを聞いてみるのがおすすめです。
お店によって出したい味の方向性も違うので、話を聞くだけでも面白いかもしれませんよ。
@碑文谷店店主